💁法人向けレンタルサーバーの信頼度は? ~ 安定性や安全性を測る指標を解説

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高橋永治

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レンタルサーバーの比較では、高速性や容量、機能性などに目が行きがちですが、法人利用の場合は安定性や安全性も重視して検討することが大切です

この選択を誤ると自社Webサイトのリスクを高めてしまいビジネスの機会損失信頼の低下、場合によっては甚大な損害にも繋がりかねません。

本記事では、法人向けレンタルサーバーの稼働安定性セキュリティ対策に焦点を当て、チェックしておきたいポイントについて解説します。

法人向けレンタルサーバーで重要なのは信頼性

企業サイトの運用には、安定したサーバー環境が欠かせません。いくらサイトの品質が高くとも、機器トラブルや混雑によってサーバーへのアクセスが滞ってしまえば、ビジネスの機会損失や顧客信頼度の低下を招きかねません。

そして、安定性以上に気を付けたいのがサイバー攻撃に対する対策です。サイバー攻撃の手法は多岐にわたるため、その脅威に備えるには相応のセキュリティ対策が必要になってきます

以下にサイバー攻撃の一部をご紹介しますので、どのような脅威があるのかざっとご覧になってください。

サイバー攻撃の種類
種類 説明
マルウェア

マルウェアとは、「ウイルス」「ランサムウェア」「ワーム」「トロイの木馬」「スパイウェア」といった悪意のあるソフトウェアの総称で、感染すると機密情報の流出やデータの改ざん・消去などの被害が発生します。

中でも「ランサムウェア」は最大の脅威とされており[※1]、被害は甚大なものになりやすいです。

サプライチェーン攻撃

企業間の繋がりを悪用した攻撃です。まずはセキュリティの甘い関連会社や取引先を攻撃し、そこを足がかりにしてセキュリティが強固な大企業(本来の標的)を攻撃します。

この攻撃は「ランサムウェア」に次いで2番目に脅威が大きいとされています[※1]

SQLインジェクション攻撃

SQLとは、データベースを操作するための言語です。脆弱性のあるフォームに不正なSQL文(命令文)を入力し、データベースの情報を漏洩・改ざん・消去します。

標的型攻撃

機密情報の入手などを目的として、特定の組織や個人を狙って攻撃します。本人に関係してそうなメールに偽装するなど、手口が巧妙になるのが特徴です。

ブルートフォース攻撃

パスワード総当たり攻撃」とも言います。パスワードのパターンを総当たりで入力し、ログインを試みます。成功した場合は各種の不正な操作が行われます。

類似する手法として「パスワードリスト攻撃」などもあります。

ゼロデイ攻撃

ソフトウェアなどの脆弱性を突いた攻撃のうち、修正パッチが公開される前に行われる攻撃を「ゼロデイ攻撃」と言います。ソフトウェアなどを停止できない場合には、無防備な状態となるため非常に危険です。

対処期間が1日もないことから「ゼロデイ(0日)」と呼ばれているそうです(諸説あり)。

DoS / DDoS攻撃

標的のWebサイトやサービスに対し、大量のメール送信F5連打などによって過大な負荷をかけ、サービスを停止に追い込む攻撃です。

1つの端末から行われたものを「DoS攻撃」、多数の端末から一斉に行われたものを「DDoS攻撃」と言います。

実際には、上記の他にも多数の手法があります。

これらの脅威に対して対策をしておかないと、自社だけでなく周囲の関係者サイトの利用者にまで悪影響を及ぼしてしまう可能性があります


以上のような事態を避けるためにも、法人利用においては安定性やセキュリティが強化された法人向けのレンタルサーバーを選ぶことをおすすめします。利用には月額数万円かかる場合もありますが、機会損失信頼度の低下サイバー攻撃のリスクを軽減できるのであれば、企業としては決して高い料金とは言えません。

ただし、法人向けレンタルサーバーにも様々なタイプがありますので、事前にしっかりと確認し、信頼性の高いサーバーを見つけ出すことが大切です

安定性や安全性を測る指標

法人向けレンタルサーバーの安定性安全性は、以下の各項目を確認することである程度推測することができます。

サーバーを比較検討する際、または現在利用しているサーバーを評価する際などに参考にしてください。

PDFもあります▼

運営会社の信頼性

まずは運営会社の信頼性を見ていきます。以下の項目を確認することで、サービスの品質や持続性、企業としての顧客に対する姿勢などを推測することができます。

項目 説明
運用年数の長さ

長年にわたりサーバー事業を運営している会社であれば、「サービスの継続」という意味では一定の安心感があります。単に長いだけでなく、ブラッシュアップ(品質向上)され続けていることも重要なポイントになります。(中には20年以上の運用実績があるサーバーも存在します)

利用者数の多さ

利用者数の多さは、そのサービスの人気度を表します。人気が高ければ事業収益が安定している可能性が高くなり、サービスの品質や事業の継続にも期待が持てます。

企業の導入件数が公表されている場合は、その数が法人利用における人気度を測る指標になります。

導入実績

公式サイト上で導入企業が紹介されている場合は、どのような企業が利用しているのかを確認しておくと良いでしょう。

大手の企業にも利用されているのであれば、それだけ信頼感が高いと見ることができます。

公式サイトの内容

サーバーの公式サイトでは、特に以下の点について確認してみてください。

  • 知りたい情報が分かりやすく掲載されているか
  • ページの表示スピードは速いか
  • 料金体系が明瞭か、分かりやすいか
  • マニュアルやQ&Aなどのサポート情報が充実しているか(これらの情報は利用開始後にお世話になることが結構あります)
  • 解約方法がきちんと説明されているか、煩雑ではないか(基本、目立つところには掲載されていませんが、マニュアルやQ&Aなどで確認できることが多いです)
  • メンテナンス情報が更新されているか(定期的なメンテナンスが行われているか)
  • 障害情報が更新されているか、障害の発生日時と解決日時に開きがないか(小さな障害はどうしても発生し得るので、障害の有無よりも解決までの速さを重視して見るようにしてください)

※メンテナンス情報や障害情報は、公式サイトのトップページまたはサポートページで公表されていることが多いです。

運営会社のサイト

運営会社のコーポレートサイトでは、会社の規模感や取り組み、沿革などを見ることで、企業としての姿勢や信頼度を垣間見ることができます。

サーバーの安定性

サーバーの安定性は、以下の項目を確認することで推測できます。安定性に自信のあるレンタルサーバーでは、サーバーの稼働率を公表したり、SLA(サービス品質保証制度)を取り入れている場合があります。

項目 説明
サーバーの稼働率

サーバーによっては、公式サイト上で「稼働率」を公表している場合があります。この数値が「99.99%以上」であれば安定していると見て良いでしょう。

SLA

SLA(サービス品質保証制度)[※2]によって稼働率を保証しているサーバーもあります。このようなサーバーでは、稼働率が目標値を下回った場合に一定額が返金されます。

この保証を行っているサーバーは多くはありませんが、見かけたときはその目標値をチェックしてみると良いでしょう。

リソースの大きさ

CPU(vCPU)のコア数やメモリ量が大きいほど、負荷に対する耐性が高まります。(同時に、この数値が大きいほど料金は上昇します)

※共用サーバーであっても、一定のリソース量が保証されている場合があります。

他ユーザーの影響

サーバーの種類(共用、仮想専用、物理専用)により、他ユーザーからの影響の受け方が変わります。一般的に、共用の場合は影響を受けやすく、仮想専用では受けにくくなり、物理専用では影響を排除することができます。

※ここで言う影響とは、同居する他ユーザーの負荷などにより、自サイトの運用に支障が出る可能性のことです。

回線帯域

回線帯域(回線の太さ)の数値が大きいほど、大量のデータをやり取りできるようになり、混雑による速度低下が起きにくくなります。

法人向けのレンタルサーバーでは、接続している回線帯域が「100Mbps~10Gbps」の範囲に収まることが多いです。

主なセキュリティ対策

セキュリティについては以下の項目を確認してください。できるだけ多くの機能に対応していることが望ましいです。

項目 説明
SSL

ブラウザとサーバー間の通信を暗号化する仕組みで、現在のWebでは対応が必須と言えます。

通信を暗号化するだけであれば無料SSLでも構いませんが、Webサイトの信頼性をより高めたい場合には、レベルの高い有料SSLの利用を検討してください。(有料のSSLは年間数万円~の費用がかかります)

WAF

WAF(Web Application Firewall)[※3]は、Webアプリケーションに対する攻撃を検知・遮断して、改ざんや情報漏洩を防ぎます。

IDS / IPS

IDSとIPSは、不正侵入を検知・防御する機能です。

  • IDS(Intrusion Detection System):不正侵入を検知して、管理者への通知を行います
  • IPS(Intrusion Prevention System):不正侵入を検知して、管理者への通知と自動的なブロックを行います

※類似する機能として「ADS(Active Defense System)」といった自動防御システムもあります。

Web改ざん検知

自動的にWebサイト内を巡回し、改ざんやマルウェアなどを検知・通知する機能です。これにより、Webサイトが危険な状態のまま放置されてしまうことを防ぎます。(修復は自身で行う必要があります)

セキュリティ診断 / 脆弱性診断

サーバーやWebアプリケーションの脆弱性を診断し、結果をレポートするサービスです。

サーバーによっては無料で提供されている場合もありますが、本格的な診断では数万円~の費用がかかる場合もあります。サーバーによって診断内容が異なるため、詳細は公式サイトで確認するようにしてください。

国外IPアドレス制限

国外IPアドレスからのアクセスをブロックする機能です。これにより、海外からの不正なアクセスや攻撃を防ぐことができます。

ブロックされるのは攻撃の対象になりやすいファイルなど(例:WordPressの管理画面、他)に限られるため、通常のWebページの閲覧には影響しません。

ログイン試行回数制限

短時間に連続したログイン試行が行われた場合に、対象者のアクセスを一定時間制限する機能です。これにより、パスワード総当たり攻撃による不正アクセスを防ぐことができます。

自動バックアップ

バックアップされたデータは、問題が発生した時の「最後の砦」となります(特にWordPressで構築されたサイトの場合は重要です)。万が一に備え、サーバーのバックアップ体制も確認しておいてください。

メールの運用

法人利用であれば、メール関連の確認も大切です。ウィルスチェックはもちろんのこと、現在では「SPF / DKIM / DMARC」の確認も必要となります。

項目 説明
ウィルスチェック

受信したメールに対してウィルスの検知・駆除を行う機能です。

スパムフィルター

迷惑メールを排除する機能です。

メールの暗号化

メールソフトとサーバー間の通信を暗号化して盗聴を防ぎます。

SPF / DKIM / DMARC

「SPF / DKIM / DMARC」は、なりすましや改ざん防止を目的とした認証技術です。これによりメール送信者(送信元)の正当性を証明することができます。

Gmail宛にメールを送信する場合は、送信者のメールドメインにこの設定を行っておかないと、Gmail側で受信を拒否されます。この件に関する詳細は以下のガイドラインを確認してください。

メール送信者のガイドライン - Google Workspace 管理者 ヘルプ
https://support.google.com/a/answer/81126

Gmail以外でも同様の措置が取られる可能性があるため、法人利用であれば可能な限りこの設定を行っておいた方が良いでしょう。(設定方法はサーバーの公式サイトで確認してください)

サポート体制

法人向けのレンタルサーバーでは、サポート体制が充実していることが多いです。社内に詳しい人がいない場合はサポートの必要性が高まるため、事前にサポートの内容や条件などを確認しておくと良いでしょう。

項目 説明
サポートの体制

法人向けのレンタルサーバーでは、メールやチャットによるサポートだけでなく、電話サポートにも対応していることが多いです。

サポートの品質

サポートの品質(回答の速さや的確さ)については実際に利用してみないと分からないため、GoogleやSNSで口コミを検索してみてください。

代行サービス

法人向けのレンタルサーバーでは、各種の代行サービスが用意されている場合があります。自社内に詳しい人がいない場合は、代行サービスの有無を確認しておくと良いでしょう。

例えば、ドメインの設定やメールアカウントの追加、サーバー移転などの作業を代行してらえます。

以上です。

今回は法人向けレンタルサーバーの信頼性について解説させていただきました。

本記事がお役に立てましたら幸いです。